Claude Code ハーネス運用の全体像
コードを書く側ではなく、「書かせる側」の品質管理。
01このVaultは、AIに「書かせる側」の品質管理装置で動いています。
ハーネスとは、Claude Codeの構成要素をひとつのソフトウェア製品として設計・運用・改善する仕組みです。
管理する対象はコードそのものではありません。AIに仕事をさせる側の環境の品質です。
ルール・記憶・道具を整備しておけば、どのセッションでも同じ品質が再現できます。
この資料は、その全体像を10の章と18点の図で説明します。
02構成要素は、方針・知識・実行の3層に整理されています。
方針層は振る舞いの定義です。CLAUDE.mdとSettingsが「何をして良いか」を決めます。
知識層は経験の蓄積です。Memory・Plans・Queueが「何を学んだか」を保持します。
実行層は能力です。Skills・Hooks・Learned Patternsが「どうやるか」を担います。
3層の上にガバナンスが乗り、成長・剪定・計測の3本の手綱で全体を制御します。
もう一歩深く: 各層の「成長」と「剪定」
方針層=ルール追加↔陳腐化削除。知識層=パターン吸収↔stale廃棄。実行層=skill/hook追加↔統廃合。層ごとに増やし方と減らし方が定義されています。
03地図はシンプルでも、実物は生態系です。
前節の3層は、正本HARNESS.mdが定義する地図です。実物はその下に広がります。
リモート運用系は外との接点です。Discordの常駐Botと管制盤が、外出先の指示と夜間運転を支えます。
計画・実行系は工場です。思いつきはplanに固まり、queueに並び、sprintの品質ゲートを通ります。
委譲系は複数のAIへ仕事を割り、知識系は経験を記憶と検索に変えます。土台は健全性系が守ります。
規模の実測はhook 49本・スキル55個・学習パターン168件・スクリプト73本。地図はシンプル、土地は広いのです。
もう一歩深く: 各系統の正本
リモート運用=discord-channelsのHARNESS_DESIGN.md。計画実行=各スキルのSKILL.md。知識=learned_patternsの_INDEX.md。本資料の正本HARNESS.mdは「コア規律」だけを受け持ちます。
04品質はLoop 1が守り、ハーネス自身はLoop 2で育ちます。
Loop 1はSprint Loopです。implement→dev-review→post-validateを1 Roundとして回します。
終了は回数ではなく定量指標で決めます。テスト・ビルド・仕様カバレッジが揃うまで。安全上限は5 Roundです。
Loop 2はハーネス自身の成長です。障害はlearnで即吸収し、成功は候補メモだけ残します。
メモの吸収は月次に一括で行います。日常のLoop 2コストを最小にする設計です。
05成長・剪定・計測の3ルールが、ハーネスの肥大を防ぎます。
追加には条件があります。「3回以上同じ作業をした」か「障害が再発した」場合だけです。
剪定には閾値があります。90日参照されないMemoryや、done後30日のPlanはarchive行きです。
計測は月次で自動実行されます。警報が1件でも灯ると、剪定planが自動でqueueに載ります。
ただし削除の実行は人の起動を待ちます。無人で消させない線引きです。
もう一歩深く: Memoryの「卒業」
hookやSOTに機械化されたfeedback memoryは役目を終えて自動archiveされます。移動のみで削除なし、いつでも戻せる可逆設計です。
06セッション固定コストは今、警報線を6割超えています。
セッション固定コストとは、起動のたびに自動で読み込まれるハーネスの重さです。
2026-07-14の実測は14,371トークン。6月10日の8,046から1ヶ月で急増しました。
主因はMEMORY.mdです。1,819から7,158トークンまで膨らみました。
つまり次の月次レビューで剪定planが自動発火する状態です。前節の仕組みが、まさに今動こうとしています。
もう一歩深く: always-onの実効合計
スキル説明文3,202tokを足したalways-on合計は17,573tok。金額影響は誤差で、本当の問題はコンテキスト窓の圧迫です。
0749本のhookが、ツール呼び出しの入口と出口を見張っています。
hookはツール実行の前後に自動で走る小さな番人です。スクリプトは実測49本。
入口では危険を止めます。機密ファイルの読み取りや破壊的な削除はブロックされます。
出口では品質を確かめます。新規ノートのタグ検証・生成物の追跡・レビューの自動発火です。
セッションの開始から終了まで、全ライフサイクルに配置されています。
もう一歩深く: hookを増やすときの決まり
追加前に同イベント×同matcherの既存hookを一覧で確認し、責務が重複するなら統合を検討します。増やすにもgrowルールが適用されます。
08品質判定は3段階 — FAILのまま世に出さない決まりです。
成果物を作るスキルは共通の判定体系を持ちます。PASS・CONDITIONAL・FAILの3段階です。
PASSはそのまま発信できます。CONDITIONALは人が採用・修正・再生成を選びます。
FAILは再生成が必須です。FAILのまま出力しないのが全スキル共通の原則です。
例外はretry上限の超過だけ。その場合も回数と理由の明示が義務です。
09夜中の2時、ハーネスは自分で自分を棚卸しします。
自動実行は深夜帯02:00〜06:00だけ。作業時間帯21:00〜01:59は禁止です。
毎週月曜02:00に週次レビュー。毎月1日03:00に月次+ハーネス計測が走ります。
結果はDiscordにサマリで届きます。人は朝、通知を見るだけです。
日次・月次・四半期の3サイクルで、この資料の内容自体も見直され続けます。
もう一歩深く: 壊れたときの切り分け
SessionStartフックがclaude --versionを毎回記録します。バージョン差異があればhooksとsettingsの互換を確認し、GitHub Releasesで原因を特定する手順です。
10見張り役のハーネスにも、見張りがついています。
ここまでの仕組みを描いてきたハーネス自身も、放置すれば劣化する製品です。
だから3本のメタループが張られています。自己計測は月次で重さと鮮度を測り、警報が出れば剪定planを自動起票します。
自己修復は常駐Botの無応答をwatchdogが立て直し、同じ死因が3回続けばレビュー案件を自動起票します。
自己改訂はスキルの効果測定や委譲の逸脱記録を、SKILLやhookの書き換えとして本体へ還流させます。
人間の役割は最終判断だけ。見張り役の見張りは、仕組み側に実装済みです。
もう一歩深く: 実例
fable-modeスキルは効果測定→蒸留を2回経て自己改訂済み。§6で見た固定コスト警報も、次の月次で剪定planとして自動起票される見込みです。
+迷ったら、この4つの正本に戻ります。
.claude/HARNESS.md— コア規律の定義書。3層モデル・二重ループ・ガバナンス・hook一覧SOT.md— Vault共通ルールの正本。pre-commitで各AI設定へ自動同期40_Tools/learned_patterns/_INDEX.md— 障害学習168パターンの正本40_Tools/discord-channels/HARNESS_DESIGN.md— リモート運用ハーネスの正本
今の重さを知りたいときは python 40_Tools/scripts/harness_metrics.py --snapshot を実行します。